外見では分からない難病患者の思い

一見健康そうに見えても、実は不治の病と闘っている人たちは、周囲の人々が気づかないだけで数多く存在している。クローン病と闘っているイギリスの男性もその一人だった。自分を理解されない状況にうんざりした彼は、ある日医療機器を身に付けた自撮り写真をSNSに投稿した。
イギリス出身の24歳、ステ・ウォーカーさんは消化機能に影響のあるクローン病を患っている。クローン病は不治の病で、全消化管に及ぶ炎症性慢性疾患だそうだ。160万人のアメリカ人が、クローン病や関連する潰瘍性大腸炎を患っているという。
ウォーカーさんはこれまで何度も合併症を患ったことや、治療のために手術を80回も受けたこと、そしてこの2年間、普通の食事ができていないことを語った。
ウォーカーさんは自分が一見「普通」の人に見えるので、周囲の人たちは彼のことを健康だと判断する。彼は障害者用のトイレや専用駐車場や、杖、シニアカーを使うのをためらってしまうという。
周囲の反応にうんざりした彼は、ある行動に出た。自分の写真を2枚並べてフェイスブックに投稿したのだ。一つは服を着たもの、もう一つは、裸で彼が生きるために身に付けている機器を写したものだ。
投稿の中で、これまで多くの合併症を経験してきたことや、彼が使用している医療機器がどのように役立っているかなど詳しく書いた。多くの人に健康そうに見えても、実際の健康状態は必ずしもそうではないとつづった。
彼の投稿には次のように書かれているという。
「『君は至って元気そうに見える。それなのに、どうして障害者用のトイレや駐車場を使うんだい?』とか、サービスの悪用しているとか、こういう言葉を言いそうになったらどうか、一旦立ち止まって考えてほしいんだ。僕だって健康になりたい、普通になりたいと思っている」
「あなたは、僕が毎日何をしなければならないかを知らないし、外見だけで僕を判断する権利なんてないことを考えてほしい。だって君は、僕の中で何が起こっているのか知らないのだから」
「僕に話しかける前に、僕がベッドから出て、服を着て、普通に見せようと努力しているかもしれないということを想像してほしい」
この投稿を見たアメリカのクローン・大腸炎財団会長のマイケル・オッソ氏は、「多くのクローン病や潰瘍性大腸炎を患っている患者さんは、健康そうに見えるでしょう。でも実際は、消耗性の痛み、炎症を耐え忍んでいます。人からはわからないものなので、なおさわでしょう」とウォーカーさんの言葉への共感を示した。
ウォーカーさんは、この投稿をしたのは自分の感情を吐露するためだったので、こんなに拡散するとは予想していなかったと語る。彼への応援メッセージは毎日山のように届くそうだ。
しかし、ウォーカーさんの戦いはこれからも続く。彼は自分の医療費を賄う一女として、ウェブサイトを立ち上げたそうだ。「私は、イギリスの地方にある小さな町の出身の、どこにでもいる普通の人間で、生き続けるために戦っているだけ」と付け加えた。
こうした人が声を上げること自体が、とても重要なことなのではないだろうか。そしてそれが広く知れ渡るツールとしてSNSはかなり有効だろう。ウォーカーさんの投稿をきっかけに、多くの難病患者の現状を知って理解をしてしてくれる人が増えるようになればと願う。